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「Epic Games Store」が批判される理由/またはRedditで反Epicコミュニティができた背景

epic_games News

 昨今、PCゲーム界隈で注目を受けているのが、Epic Gamesが提供するPCゲーム販売プラットフォームの「Epic Games Store」だ。PCゲームを遊んでいる人なら、Epic Games Storeに関するニュースや言及を見たことがあるかもしれない。なぜ、PCゲーム販売プラットフォームの一つであるEpic Games Store(以下、EGS)が、批判を集めているのか。

 本記事では、「『Epic Games Store』が批判される理由/またはRedditで反Epicコミュニティが出来た背景」と題して、EGSが批判を受けている理由を、Redditで生まれた反Epicコミュニティ「/r/FuckEpic」のまとめスレッドの内容を再構成する形でまとめていこう。

 「なんでEGSって批判されているの?」「EGSを批判する人は何を問題として挙げているの?」と気になった人にとって、参考になれば幸いだ。

 この記事は2019年6月時点の「/r/fuckepic for dummies – a quick breakdown」の内容を、作成者の許可を取り、翻訳したものです。コミュニティでコメントを書いた人たちの考えをまとめているスレッドのため、記事構成時にまとめの内容を適宜入れ替えて抜粋しています。一部、情報元に関連する日本語の記事を引用しています。

Epic Gamesに対する不信感

TencentがEpic Gamesの株を40%所持 中国政府とのつながりを懸念

 TencentはEpic Gamesの株の40%を所有している。

 40%の株を所持していることは、会社のあらゆる決定にも大きな影響力を持つだろう。この力がEpic Gamesの決定にどう影響しているのか疑い深いものがある。

 Tencentは、「Fortnite」がまだ開発の初期段階にあった頃、約8億2500万ドルの評価額でEpicの株式の40%を取得した。Epicは、この資金提供をプラットフォームを大きく変えるために利用した。

How Tencent Changed ‘Fortnite’ Creator Epic Games’ Fortunes」(Investopedia)

 「40%の株を持っている? どうでもいいじゃないか」と思う人もいるかもしれないが、Tencentとつながりがあるのが中国政府であってもそうだろうか? 読者の場合は違うかもしれないが、全体主義の超大国がストアに干渉するのは好きではない。

 中国政府はこれまで、中国の主要オンライン企業の事業には干渉しない姿勢をとってきた。ロンドンの企業Enders AnalysisのJamie McEwan氏は、この関係を次のように表現している。「中国企業は中国国家と相互利益の関係にある。欧米のような厳しい監視や競争を受けることなく、成長し、事業を大幅に多角化することが許されてきた」

 だが実際には、中国政府が外国のニュースやソーシャルメディアを遮断することで、Tencentや他の中国のテクノロジー企業の発展を促進してきている。例えばWeChatで見てみると、「Facebook Messenger」や、同じくFacebookが所有する「WhatsApp」などの競合サービスがブロックされているため、ライバルが減っている状況がある。

Tech Giant Tencent and its Relationship with the Chinese Government(redskyalliance)

Epic Games CEOのTim Sweeney氏の発言が矛盾

 Epic GamesのCEO(最高経営責任者)であるTim Sweeney氏は、自身が自己矛盾に陥っていることを気付いていない。MicrosoftのUWP(Universal Windows Platform)に対する彼のスタンスを覚えているだろうか?

情報元:Microsoft wants to monopolise games development on PC. We must fight it(The Guardian)

 Epic Gamesを率いるTim Sweeney氏は、このストア専売と30パーセントのロイヤリティがMicrosoftに入る仕様などに関して海外メディアThe Guardianに記事を寄稿し、「MicorosoftはPC上におけるゲーム開発を独占しようとしている。我々は戦う必要がある」と強い拒否感を示している。

MSの「UWP戦略」により広がる波紋。Xboxはパーツ交換式にはならないと補足、Epic Gamesヘッドは「PCゲーム市場の独占」と強い不快感(Automaton)

(訳注:Tim Sweeney氏はMicrosoftがUWP戦略を始めたときに「独占はよくない」という警鐘をならしていた。それにも関わらず、自分たちこそ独占のような戦略を打ち出していることが矛盾していると言及している。ちなみに、Microsoftは2019年5月にUWP戦略の方針を転換する発表をしている(関連記事))

開発を買収してプレイヤーを分断?

 Epic Gamesはスタジオの買収も始めている。たとえば、Rocket Leagueを開発した「Psyonix」を買収した。

 リリースから数年経ったゲームを奪い取るような行為は、プレイヤーを分断し、問題を引き起こす恐れがある。

情報元:Epic buys Rocket League developer Psyonix, strongly hints it will stop selling the game on Steam(The Verge)

 本日、Epicがプレスリリースを発行し、Rocket LeagueやNosgothで知られるインディーデベロッパ「Psyonix」を買収したことが明らかになりました。

 発表によると、2019年後半にEpic Gamesストア上でPC版“Rocket League”の販売がスタートするほか、Steam向けの“Rocket League”販売は今後も継続され、既存の購入者も引き続きSteam上でプレイできるとのこと。

Epic Gamesがロケットリーグの「Psyonix」を買収、Steam向けのロケットリーグ販売は継続(doope!)

 これについてはMissingno74氏が「Epic Gamesが独占契約を結ぶと、ゲームとそのファン達をめちゃくちゃにする」でまとめている。

(訳注:Missingno74氏は、MOD開発者とゲームのファンが、Steam Workshopを通じてマップやスキン、モデルを公開したり利用したり出来る形だったが、EGSの独占発売が始まると、Steam Workshopを利用できなくなるため、発売当初から遊んでいたファンと、MOD製作者が楽しめなくなると言及している)

Epic Games Storeでの「独占」「時限独占」行為

発売数日前にSteamからEpic Games Storeへの独占を発表させる

 Steamでの発売直前に、Epic Gamesでの時限独占発売を発表した「Metro Exodus」が炎上した。

 この件のように、Epic Gamesはリリースまであと数日でSteamからゲームを奪い取る傾向にある。これは最初から独占でゲームを公開する行為よりも悪質だ。

発売数日前の独占発表を「二度とやらない」と答えた後、また独占をするケースが

 EGSの代表者らは、先述したMetro Exodusの件が炎上した件について質問を受け、「二度とそれをやらない」と約束した。

 GDC2019のQ&AセッションでEpic Games Storeの代表者であるSteve Allison氏が、Metro Exodusの一連の騒ぎを受けて、また同じようなことをするかどうか尋ねられた。Steve Allison氏は即座に「二度とそんなことはしたくありません」と答えた。

Epic on pulling Metro Exodus from Steam: ‘We don’t want to do that ever again’
(PCGamer)

 だが、その直後、Steamで発売予定だった「Anno 1800」がEGS独占に切り替わった。

 Ubisoftは2019年3月29日、同年4月16日に発売予定のストラテジーゲーム 「Anno 1800」 がEpic Games Store時限独占になると発表した。発売は4月16日の予定で、この土壇場の変更は当然、同年初めに登場した 「Metro Exodus」 のストア変更の騒ぎを思い出すかもしれない。

Anno 1800 will be an Epic Store exclusive, but can be pre-purchased on Steam until launch(PCGamer)

(訳注:一応、配慮されての形となっているようです)

 『メトロ エクソダス』は配信先の変更がアナウンスされると同時に、Steamストアでの予約受け付けが中止された。一方、『Anno 1800』は発売日までSteamストアでの予約受け付けが継続される。『メトロ エクソダス』の一件から学んだ、Steamユーザー向けのせめてもの配慮なのだろう。

『ディビジョン2』に続き、Ubisoftの新作『Anno 1800』もEpic Gamesストアで販売へ。Steamでの予約受付は発売当日まで継続(Automaton)

サードパーティゲーム独占の是非

 家庭用ゲーム機プレイヤーにとっては、「EGS独占ってそんなに問題なんだろうか?」と疑問を抱くかもしれない。しかし、これは問題なのだ。私たちの環境はPCだ。

 誰かが突然、あなたの持っているゲーム機にセキュアでないストア(後述)をオープンさせ、通常のストアから商品を排他するように奪い取り始めたと想像してみてほしい。それに、最近のゲーム機のほとんどはファーストパーティーのゲームだ。Epic Gamesが開発した「Fortnite」や「Unreal Tournament」がEGS限定なのは問題ないし、Valveが開発した「Portal 2」や「Half-Life 3」がSteamで独占されるのも問題ない。

 しかし、Epic Gamesはサードパーティーのゲームを独占的に提供しているのだ。コミュニティメンバーが提供している独占リストを見てほしい。(リスト1リスト2

Epic Games Storeの機能不足

Epic Games Store 開発ロードマップの遅延

 EGS自体はどうだろうか。タスク管理ツール「Trello」で公開されているEGSの開発ロードマップを見てみると、このまとめスレッドを公開した時点で「ユーザーレビュー」や「ショッピングカート」などオンラインストアとしての基本的な機能が欠けていることが分かる。

 また、ユーザーレビューはパブリッシャーの判断で無効にでき、明らかに「反消費者」(anti-consumer ※)だ。どう感じるかは読者の判断に任せる。

 レビューについては無効にできるだけではなく「開発者は、ゲームページでプレイヤーのレビューを有効にできる」と説明されているので、開発者にとってはオプトインのような形で形式されるものであり、パブリッシャーや開発者が「レビューが欲しい」と明確に決めない限り、おそらくレビュー機能は無効にされるだろう。

 最後に、ロードマップでは、いつ実装される予定かが明記されているが、予定が変わってしまうことは往々にしてあるということを知っておいてほしい。

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5月31日、Epic Gamesはロードマップの約束を破るのか? May 31th, Epic reneged on their Roadmap promises ?(Reddit

(訳注:anti-consumerは、消費者のユーザー体験を犠牲にして企業に利益をもたらす概念とされ、ルートボックスなどPCゲーム界隈のアレな話題で出てくる曖昧なバズワードになっている)

GNU/Linux環境にストアが未対応 ゲームも未対応になっていないか? 

GNU+Linux

 EGSではGNU/Linuxがサポートされていない。なぜこれが重要なのか。

 EGSで発売が開始されたMetro ExodusもGNU/Linuxをサポートをしていないが「Metro 2033」や「Metro: Last Light」はサポートしてきた。EGSで発売開始された「Borderlands 3」もGNU/Linuxをサポートしていないが、「Borderlands 2」「Borderlands: The Pre-Sequel」はサポートしてきた。規則性を持っていると言えないだろうか?

 また「GNU/Linuxなんてサポートしなくていい」とゲーム仲間をけなしてもいけないことを知っておいてほしい。GNU/Linuxを利用してゲームを遊ぼうとするのは選択肢の一つであり、それ以上でもそれ以下でもない。人々はGNU/Linuxで遊ぶ権利を持つ。

 ValveもGNU/Linuxについての対応では怪しげなことをすることがあるが、消費者を置いてけぼりにしようとしているとは言えない。事実、GNU/LinuxでWindows対応ゲームが手間なく遊べるように、Protonなどを開発してきた。もちろんGNU/Linuxユーザーの中には、こうした活動に不満をいう人もいるだろうが、ユーザーの好みの環境でゲームがプレイできるようになるのであれば十分だろう。

セキュリティやカスタマーサポートに対する不信感

 Epic Gamesのセキュリティは、「惨事」や「冗談」という言葉では表現できない。フィッシングだらけの場所に足を踏み入れた方が安全だと言えるだろう。これらは、現時点で参照できるセキュリティ問題に関するさまざまな例だ。

情報元:Nice security Epic. I stopped using my account like months ago before fortnite even became popular and i get shit like this.(Reddit)

情報元:Epic Store Account Gets Hacked, Loses Thousands Of Euros(SegmentNext)

「フォートナイト」成功の裏側で

従業員に長時間労働を強いる(月280~400時間労働)

Fortnite

 Epic Gamesは従業員をクソ扱いする業界の悪玉の1つだ。他にも、NetherRealm StudiosやRockstar Gamesなど従業員をクソ扱いする企業があるがEpic Gamesもその一つということだ。

情報元:How Fortnite’s success led to months of intense crunch at Epic Games(Polygon)

匿名という条件のもとインタビューに応じたEpic Gamesの現・元従業員たちは、週70時間労働、従業員によっては週100時間労働が当たり前であると答えている。長時間労働は明確には強制されておらず、いつでも休んでいいと言われているものの、与えられた業務量と納期を考えると、現実的には休める環境ではなかったとのこと。職を失いたくなくば、死の行進に参加せざるを得ない。「土曜日に休むと、罪悪感を覚えるんだ。こんな働き方を強要されているわけではないけれど、こうでもしないと仕事が終わらない」。また、土日に休んだことで納期に間に合わなかった従業員は、解雇されていったという。ただ、残業代はしっかり払われていたとのこと。

『フォートナイト』の成功は、終わりなきデスマーチに支えられていた。土日返上で行進を続けるライブサービス時代の申し子」(Automaton)

同調査で「最大の問題は常にパッチを当てている」ことだということもわかった。通常『フォートナイト』は毎週木曜日にアップデートが行われていることから、スタッフは常に大量の仕事をこなしていることになる。このアップデートサイクルは新要素を追加してプレイヤーからの人気を保ち、競合するゲームに流れていかないようにすることを目的としている。

Epic Gamesはこの長時間労働を強制していないとしながら、締め切りに間に合わなかったスタッフは解雇されたということから、スタッフは休みを取ることが不可能だと考えている。「こんな長時間働きたくないと言ってスタッフが辞めていく」とあるスタッフは答えた。ほかのスタッフたちは休みを取るのは「経歴に傷が付く」と訴えている。

『フォートナイト』開発スタッフ、週70時間労働を強いられていたことが調査で判明」(IGN)

18歳未満にルートボックス商法を展開?

 FortniteはPvEモードでルートボックスを課金要素として実装していた。問題は、Fortniteのプレイヤーの多くが18歳未満だということだ。調査会社でさえ18歳未満のプレイヤー人口を調査できないなか、Epic Gamesはルートボックスでお金を得ようとした。もちろんそのターゲットは……。

情報元:Chart Of The Week: A Deep Dive Into Fortnite

情報元:Lawsuit Targets Epic’s ‘Predatory’ Loot Boxes in ‘Fortnite’

(訳注:18歳未満の子供を狙ってルートボックスやったのどうなの?ということを言いたいようだ)

まとめ

 反EGS運動は、「Epic Gamesに対する不信感」「Epic Games Storeでの『独占』『時限独占』行為」「Epic Games Storeの機能不足」「Epic Games Store登場のきっかけとなった『Fortnite』にまつわるあれこれ」などの理由で起きていることが、反Epicコミュニティのまとめスレッドから垣間見えた。反Epicの声が広がっている背景が把握できたなら幸いだ。

コメント

  1. EpicはLauncherとなんとなくもらってしまったタダゲーをRevoUnlinstallerで完全削除する程度には大嫌いになったが、
    一方でValve/Steamの停滞も気になるところ。
    最近ろくなゲーム作ってないしサマーセールもつまんないしね。

    かといってGOG等がクリーンに正面からやりあっても勝てるはずもないし
    ある程度強引に競争を起こしていかないといけない。
    競争を起こすという一点においてEpicには期待している。

    ただユーザーと開発者、開発メーカーとの間に軋轢が生じるのは不幸としか言いようがない。
    Epicは逃げずにユーザーの憎悪をすべて受け止めるべきだろう。

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