ホラーゲーム「返校 Detention」(以下、返校)などで知られる台湾のデベロッパー「Red Candle Games」が2019年2月19日に公開した最新作「還願 Devotion」(以下、還願)で、中国指導者である習近平国家主席を「クマのプーさん」と表現するアセットが見つかった。くまのプーさんは「習近平と見た目が似ている」とコラ画像が作られるようになった後、中国国内で検閲の対象になっている。
問題のアセットは、壁に貼られた護符(呪文)だ。護符の下部の判子には「小熊維尼習近平(くまのプーさん 習近平)」と書かれている(Google画像検索「熊維尼」)。さらに護符の4隅にある「呢嘛叭唭」は発音すると「你媽 87(お前の母親は馬鹿だ)」と発音が似ているという。これらを中国ユーザーが発見し、Weiboで話題になった。
Weiboで話題になった後、Red Candle Gamesは問題のアセットについて「プロトタイプ開発時に追加したものが完全に削除されていなかった。侮辱する意図はなかった」と謝罪アナウンスを出し、このアセットを削除して別の内容に差し替えた。だが、このアナウンスに対して約6400件のコメントが寄せられ“炎上”状態となった。
還願のストアページのGoogleキャッシュによれば、2019年2月22日の時点で約4000件のレビューで「圧倒的好評」だったが、中国ユーザーによる不評レビューが投稿された結果、約12000件のレビューで「賛否両論」となっている。なお、キャッシュではパブリッシャーに「Indievent」が書かれているが、IndieventはWeiboでRed Candle Gamestとのパートナーシップの終了を発表し、現在は開発者もパブリッシャーもRed Candle Gamesになっている。
また、返校に対しても本件を非難する投稿が相次ぎ、1日で約2500件の不評レビューが投稿された。Red Candle Gamesの作品に対して、今回のアセットを非難する「Review Bomb」(レビュー爆撃)が行われている状況だ。ちなみに、発売から間もない還願のストアページではグラフを表示できなかった。
中国のWebメディアもこの1件を報じていて、炎上状態になった還願に関連する議論や動画が検索できない状態になっていることを伝えている。例えば、WeiboではRed Candle Gamesの公式アカウントが閲覧できず、動画サイトのBiliBiliでは「還願」と検索しても動画が一切見つからない状態になっている。また、Red Candle GamesはYouTubeで還願に関連する動画を非公開にしている。
還願は1980年代の台湾を舞台にしたホラーアドベンチャー作品。あるマンションに住んでいた3人家族に起きた出来事を、探索を通じて明らかにしていくという内容だ。発売直後、話題の新作に上がるほど本作を高評価するユーザーが多かっただけに、「政治的主張をゲーム内に持ち込んだ」と失望されかねない1件となった。
【追記 2019/02/27 23:00】
初出時、判子の説明で「習近平熊維尼(習近平 くまのプーさん)」と示していましたが、正しくは「小熊維尼習近平(くまのプーさん 習近平)」でした。ご指摘ありがとうございました。
情報元 Spieltimes Reddit 新頭殻 蘋果仁