北朝鮮の最高指導者である朝鮮労働党の金正恩委員長の重体説が報じられて以降、金委員長の健康状態に注目が集まっています(韓国が「金委員長は健康だ」と発表もしています)。
そんな中、北朝鮮とSteamに関するネタ画像がTwitterで話題になっています。
Me – Kim Jong Un is dead
Friend – How the fuck do you know?
Me – pic.twitter.com/kDcRUPsQgI
— Grinding Poet (@GrindingPoet) April 24, 2020
私「金正恩は死んだ」
友人「いったいどうやって知ったの?」
私「(画像)」
「点=金委員長」とするネタ
Steamは、ユーザーのダウンロード速度やダウンロード地点を統計データとして公開しています。話題になった画像の元ネタは「サテライトビュー」で表示される点です。
この点は、 24 時間以内に一人以上のユーザーがSteamからコンテンツをダウンロードした場合に表示されるようになっています。
「北朝鮮のインターネットは情報統制され、一般市民に利用が制限されている」という説がある中で、Steamからゲームをダウンロードできるインターネット環境を持っているのは偉い人、つまり金委員長といえるのではないか? というネタが数年前からあり、その背景を知っている人にとって「点が消えた=金委員長に何かあった(今回の場合は亡くなった)」と判断できるミーム(ネタ)というわけでした。
もちろんネタですし、この点は「 24 時間以内に一人以上のユーザーがSteamからコンテンツをダウンロードした場合に表示されるようになっている」ものなので、これだけで生死は分かりません。また誰がSteamにアクセスしているのかも分かりません。
記事執筆時点で統計ページにアクセスしてみると2つの点が表示されていました。筆者が数日間の複数のデータにアクセスしてみましたが、このミーム画像と同様の結果を得られるデータがなかったため、ミーム投稿のために画像編集をしている可能性もあるかもしれません。
この画像について、ジョークとして捉えている人もいれば、この地図がそもそもどこを意味しているのか分からないユーザーもいました。ちなみに、2017年には北朝鮮の点の表示が1つから2つになったことで「金委員長がゲーム仲間を見つけた」と話題になりました(関連記事)。
北朝鮮でインターネット?
ところで「北朝鮮にインターネット環境なんてあるの?」と疑問に思った人がいるかもしれません。各種情報を元にすると、北朝鮮の国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)「.kp」を管理する政府組織(STAR-KP)から、中国企業の「China Unicom」やロシア企業の「Trans TeleCom」が提供するサービスを経由して、インターネットに接続することは可能だそうです(提供形態は不明)。
一方、今回話題になった北朝鮮からのSteam利用ですが、北朝鮮からのSteam利用を疑問視する声もあります。それはVPNを利用して北朝鮮からの利用に見せかけている可能性があるからです。
北朝鮮による使用のために登録された IP アドレス空間の中には、実際は「仮想プライベートネットワーク(Virtual private Network、VPN)」サービスのプロバイダによって利用されているものがあることも判明しました。これは明らかに、IP アドレスと位置情報等をマッピングした「GeoIP サービス」を偽装し、国外のインターネットインフラストラクチャが北朝鮮にあるように見せかけることを目的としたものだと考えられます。
出典:北朝鮮インターネット事情(トレンドマイクロ)
VPNで北朝鮮を選択したユーザーからのSteam利用を「北朝鮮からのアクセス」として統計データにカウントしている可能性はあるかもしれません。北朝鮮からに見せかけてSteamを利用する狙いは不明ですが……。